経営方針

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トップメッセージ

代表取締役社長 原一将

株主の皆さまにおかれましては、日頃よりご支援とご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による活動制限が解消され、経済活動は正常化に向かう流れとなりました。世界経済におきましては、国際情勢が一段と不安定になるなか、中国経済の停滞、為替レートの変動、米中貿易摩擦など、先行き不透明な状況が続いております。

当社の属するエレクトロニクス産業におきましては、スマートフォンやパソコンなどの需要が減少、中国経済の停滞も影響し、年度の後半から調整局面となり、産業機器市場におきましても、省人化や効率化のための製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)向けのFA・工作機械などへの設備投資が第4四半期から軟調となりました。また一方で、戦略的に自国で半導体を確保するため、各国政府主導により半導体工場への設備投資の支援策が行われ、半導体製造装置などに長期的な需要が期待されています。車載市場では、半導体など電子部品の供給不足が解消され、安全性の向上・自動化に向けた高度な制御システム、脱炭素化に向けたEV(電気自動車)化の動きが加速し、車1台当たりの半導体搭載量が増加しています。
 IT産業におきましては、企業のIT投資環境は引き続き良好となっており、DXなどをテーマとする投資に加えて、国内外の経済活動の正常化によるビジネス規模の拡大に伴ってIT投資が拡大しています。セキュリティに関しては、短中期的に経営課題ととらえる企業が増加しています。特に、比較的セキュリティレベルが低い自社の子会社や取引先などのサプライチェーンの弱点を悪用した攻撃により、個人情報の漏えいや業務停止するなど、甚大な被害を及ぼしていることから、情報資産のリスクを発見・管理するアタック・サーフェイス・マネジメント(ASM)サービスへの注目が高まっています。
また、当社グループが今後もさらなる事業拡大及び企業価値の向上を目指していくためには、半導体及び電子機器に対する技術的な知見・知識や集積回路、電子デバイスなどの販売スキルを有する人材やエンジニアといった人的資本を獲得することが必要不可欠であるため、2024年1月に当社の完全子会社(株式会社マクニカ)による株式会社グローセルの株式の公開買付を実施し、2024年3月より特定子会社としました。当社との人的資本を組み合わせることにより、半導体事業や新規事業の拡大、事業上のシナジーを生み出してまいります。

集積回路及び電子デバイスその他事業におきましては、車載市場では、半導体など電子部品の供給が改善されたことやADAS(先進運転支援システム)をはじめとした安全性の向上・自動化に向けた高度な制御システム、脱炭素化に向けたEV(電気自動車)化の流れにより半導体搭載量も増加していることから、その他標準ICを中心に伸長しました。また、産業機器市場においては、企業の設備投資意欲はあるものの部品供給の改善や中国市場の停滞による需要減少などもあり、各種半導体製造装置やFA機器や工業用ロボット、医療機器など幅広い市場で調整局面となりました。また、中国でのサーバー需要が落ち込んだ影響を受け通信インフラ・コンピュータ市場向けメモリーの需要が大きく減少しましたが、コンピュータ市場では、生成AI向け製品の特需がありました。また、当社の半導体商社市場におけるマーケットシェアの拡大が進んでいることも寄与しました。

ネットワーク事業におきましては、クライアント端末へのセキュリティ対策の重要性認識が浸透してきたことにより、エンドポイントセキュリティ関連商品が大幅に伸長しました。クラウド技術やデータ活用の広がりを背景に、クラウドアプリケーションとデータ分析基盤関連商品が伸長しました。加えて、東南アジア地域を中心とした海外ネットワーク事業も大幅に伸長しました。また、特定の仕入先との販売契約で、ソフトウェアライセンスの原価を追加計上する必要が生じたため、一時的に売上原価率が上昇しました。尚、今後の影響は限定的です。加えて、期中の急激な円安傾向により、新規案件を中心に売上原価率が上昇しました。

今後につきましては、当社グループが成長と同時に、より収益性を高めるためにグループ経営の変革を図っております。「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描いて”今”を創る」というパーパスのもと、当社グループの強みである優れたコンセプトや技術を見極める目利き力、未来構想力、実装力をさらに尖鋭化させ、サイバーとフィジカルをつなげ、「技術商社」の枠を超えた価値そのものを創造するサービス・ソリューションカンパニーとして、様々な社会課題の解決に貢献してまいります。そして、社会的価値と経済価値を両立し、高い付加価値を創造する経営を目指してまいります。

株主の皆さまにおかれましては、今後とも倍旧のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

代表取締役社長 原一将

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